カウンセラーの選び方 セラピーの方法について

 私のオリエンテーション(カウンセリングの方法)は基本的に精神分析的(力動的)セラピーといいます。これはフロイトが創始者のセラピーですが、精神分析も時代とともに変化、発展して、さまざまな学派に枝分かれしたり、行動療法と合体して認知行動療法となったり進化を続けてきています。

 そして近年になり、発達障害の概念や、トラウマの概念の発見と合わせてアタッチメントや脳科学の発展と、それに合わせたさまざまなセラピーの開発など、心理の分野はスリリングな新発見がここ20年ほど続いてきています。

 昨今は開業のカウンセリングルームも増え、オンラインでのカウンセリングも受けられるようになり、カウンセリングを受けたい方にとっては選択肢がどんどん増えてきているのではないでしょうか。

 けれどそのために、悩みを抱えていても、どこに行けばよいのか分からない、どのような選択肢があるのかも分からないという事態も増えてきました。

 今回は、どんなお悩みにはどのようなカウンセリングを受ければよいのかを大雑把にご説明してみます。

 悩みの内容が具体的で、最近の悩みで、それ以前は大きな悩みを抱えていない場合ならば、ゆっくり話を聞いてもらえて共感してもらえるカウンセラーという条件で探されるのが良いかと思います。ある程度精神的に健康な人は、一度そのような機会を持つだけでかなり楽になることも多いものです。例えばそれほど関係が深まっていない恋愛についての相談や、職場での人間関係で迷っている時などはこれに該当することが多いものです。が、そのような悩みでも、背景に過去のトラウマの影響がある場合や、パワハラモラハラ的な問題がある場合はそれほど簡単にいかないことも多いと思います。

 悩みが精神的な症状の場合、例えば強迫神経症や、対人恐怖症、睡眠や仕事、日常生活にも支障をきたすようなうつ症状の場合は、ある程度専門的なカウンセリングを選ぶ方が良いと思います。あるいは、症状が酷い時には医療機関への受診や投薬と並行してカウンセリングを受けた方がいい場合もあります。

 医療機関でもカウンセリングができ、保険診療で安価でできる場合もあります。精神的な問題で仕事がままならないなど、経済的に不安な場合はむしろ自費のカウンセリングルームよりもそちらをお勧めする場合もありますが、難点もあります。カウンセラーを選ぶことができないこと、医療機関のカウンセラーは比較的経験年数が浅いカウンセラーが多いこと、そしてカウンセラーは大抵非常勤で働くので、入れ替わりが激しいこともあること、そして何より混んでいてなかなか受けることができないことも多いからです。

 このようなメリットとデメリットを考えて、どのような相談機関を選ぶかを考えるとよいでしょう。

 ちなみに私の相談室では、上のようなお悩みに加えて、生きにくさや親子関係の問題、発達の問題、夫婦関係、パーソナリティの問題など比較的広い範囲のお悩みを扱うことができると思います。これはこれまでの臨床経験から得られた自負でもあります。

 確かに昨今の社会事情からも、金銭面では決して少なくない支出となりますが、お客様がそれに見合う効果を実感できるように日々努力しております。そしてできればセラピーの性質上、週一回かあるいは最低二週間に一度ぐらいの頻度でのセラピーをお願いしたいと思っています。あまりに頻度が落ちるとせっかくカウンセリングを受けても効果的でなくなることが多いのが残念だからです。

 これは例えれば、サブスクリプションのように漫然と月1回や不定期に受けるよりも、歯科矯正のように期間を決めて頻度を詰める方が効果的なことが多いからです。ある程度頻度を詰めて受け、安定してきたら頻度を開けるという方法も有効でしょう。

 良いカウンセラーは歯科矯正のように、クライエントにとって生涯続く永続的な人生の質の改善を目指します。リラクゼーションのマッサージのように、辛い時にその都度楽になることのみを目指してはいないのです。