自己啓発系で性格の問題は改善するのか?

 自己啓発系で自分の性格の問題(と自分で考えていること)を解決しようとする人はたくさんいらっしゃいます。カウンセリングに通おうとされる方よりもその数は比べ物にならないほど多いのでしょう。

理由としては、まず安価なこと。カウンセリングは一度だけで終わることは少なく、継続して年単位で続ける必要があることもあります。自己啓発本を数冊買う、あるいは数回のセミナーの単価に比べれば、費用はもちろん高くつきます。そして通い続ける時間とエネルギーも必要です。

そしてカウンセリングの大きなハードルとして、見ず知らずの人に自分の心の悩みを打ち明けるということにあると思います。たとえどんな資格を持つベテランのカウンセラーだとしても、知らない人に心を開くことは容易ではないことです。

カウンセリングにはそんな敷居の高さがありますが、それでも私は、自己啓発の本や、あるいはカウンセリングの専門書を読むことよりも、自分のカウンセリングを受けることの方が効率的に心の変化を感じられると、長年の経験から信じています。

 ではどうして、自己啓発では心の変化や改善がうまくいかないのか。

これは、私がこれまでに触れてきた、脳や心の構造ともかかわってきますが、人の心の中で意識できる部分やコントロールできる部分はほんの一部であることと関わっています。自己啓発本を読み、心から感銘を受けて、これから変わろうと決意しても、ちょうど氷山の浮いている部分はごく一部で、大部分は海中に沈んでいるのと同様に、心の多くの部分は無意識です。そしてそれは、私が以前に書いたように、生物学的な不安やそれを解決するために(多分子どもの頃から)身に着いた防衛方法に左右されて行動していて、それに気づくことは困難な上、もし気づくことができても変えていくことはさらに困難を極めます。

なぜならば変えようとしているその問題は、もしかするとあなたを長年傷つくことから守ってきた対処法なのかもしれないから、ただ変えようとするとその時の傷つきや不安がよみがえることもあり得るからです。

 私のカウンセリングでは基本的に、人の心のそのような複雑さを加味した上で、その人と共同で少しずつそれらを見つけ、その人が望む方向に変化することを助けていきます。なので単純に問題を言い切ることはしませんし、人の心の変化は複雑でゆっくりしたものと捉えています。

 自己啓発の本を読む、セミナーを受けることで大きく変わる人も存在するとは思いますが、大抵の人は、特に感情が絡んだ長年の心の問題や対人関係の問題などでは、本を読み頭で理解した内容のみですぐに変化することは滅多にありません。これは自己啓発だけでなく、それが心理学の専門書であっても同様です。

 人の心はすぐに変えられるというキャッチフレーズを見かけるたびに、そんなわけないと私は内心で思っています。変えようとすることがたとえその人にとって良い変化であったとしても、その人がそれを選び続けてきた理由はちゃんとあり、その変化に対して頑固に抵抗することもあります。

 ピアノの弾き方の本を一冊読んで、あるいはピアノ曲を聴いて、すぐにピアノが弾けるようにはなれません。あるいはなれる人もいるかもしれませんが、それは天才か、すでにピアノの弾き方を学んでいる人に限ります。心の使い方も同様です。うまく使いこなすにはそれなりの心の専門家の元で一定期間練習することのほうが、独学よりも早道である場合が多いのです。

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