子どもが親を責める理由 その原因と対応法

随分以前に、このタイトル「子どもが親を責める理由」でブログを書きましたが、いまだにその記事がブログの中で最も検索されています。推測するにこれはそれほど子どもに責められて困り果ててスマホで検索される方が多いのでしょう。あるいはもしかすると親を責めてしまい、自己嫌悪に駆られる子どもの立場の方も中にはいらっしゃるのかもしれません。

今回は少しでもそのようにお困りの方の参考になるように、より具体的にその考えられる原因と対応について、お話したいと思います。

思春期までの子どもの場合

まず、お子さんの年齢はいくつでしょうか?思春期以前と思春期以降、青年期や成人それぞれによってかなり変わってきます。例えば思春期までは手がかからなかった、反抗もあまりしなかったという場合は、思春期に親に反抗したり言いなりにならなかったり、親の生き方を否定する、自分は昔分かってもらえず辛かったなどと言葉に出して言う場合、むしろそれは健全な発達段階を辿っていると思われます。思春期は身体が急速に大人になり、気持ちがそれについていけず、親から自立して自分の考えで行動したい衝動とともに親に頼りたい、甘えたい気持ちの両方がせめぎ合う時期です。その上友達関係も複雑になり、その重要性が増していく時期でもあります。

その時期に親を批判してそれを言葉にできることはある意味健全なことで、時にはぐさりと的を突くような批判を子どもから浴びたりします。英語ではティーンエイジャーと言って13歳から19歳までは親の言うことを聞かない時期で少々狂気じみているのが当たり前とさえ考えられています。この時期に子どもにきつい言葉を言われたとしてもそれほど心配する必要はありません。大人として冷静に聞き、辛かったと訴えるならばそれを認めて謝ることで鎮まることも多いものです。

ただしその時期でも、繰り返し同じ内容で子どもが責める場合や、不登校や強迫性障害など、生活面に別の問題がある場合や、取引として物やお金を要求する場合、暴力で脅す場合は別問題です。それは今現在もお子さんが精神的に苦しんでいるから助けてというサインですから、見逃さずに専門家に相談することを考えてください。

成人以降の場合

また、成人の場合、時には中年以降になっても親が責められることはあります。

例えば自身の問題やお子さんの問題でカウンセリングを受け始めた方が、だんだんとご自身の子どもの頃の辛かった体験、多くは親に理解してもらえずに苦しかったという記憶を感情とともに思い出した時、ご自身の親御さんに打ち明ける場合があります。親御さんとしては、これまでそんなことを言わなかったのになぜ今になって?という疑問と、子どもに苦しい思いをさせてきたという罪悪感で胸がつぶれる思いをされる方もいらっしゃるかと思います。もしかすると「どうして私が責められないといけないのか分からない。」と逆に憤る方もいるかもしれませんが、全く自分は悪くないと思える方はスマホで検索はされないでしょう。

たくさんの親子関係を見てきて思うのは、親子という一番身近で血のつながった関係だとしても、親から見る世界や親がよいと思ってやったことと子どもが見たり感じたりする世界は全く別のものと考えた方がいいのだということです。別の人間の別の考えを多少なりと分かるためにはやはり言葉で思いを伝えあう必要があるということです。

ですからお子さんが遅ればせながら、子ども時代の辛い気持ちや親に分かってほしかった気持ち、助けてほしかった気持ちを伝えられたとしたら、むしろそれは親子関係に良いことで、お子さんは親に理解してもらうことでつながりたいと願っていることに他なりません。そういう場合も、昔辛かった気持ちや、そして多分今でも辛い気持ちがお子さんにあることに共感してあげられると、全部とはいかないまでもわだかまりは少なくなっていきますので、まずはよく話を聞いてから「辛かったね。気づいてあげられなくてごめんね。」と言ってみてください。

もちろん親には親なりの事情があること、そして特に子育てをするような若い時期には精神的にも時間にも余裕がなかったことや、親自身も理解のある親を持っていたケースは少ないこともあり、そうなってしまったのかもしれません。それを分かってほしいという気持ちが当然出てきますが、まずはお子さんの気持ちを優先して聞いてあげることが大切です。お子さんが分かってもらえたと感じられたならば、親の立場の辛さや葛藤も少しずつ理解できるようになってくるでしょう。お子さんの気持ちを先に聞くことで、何よりも親子間の長年のわだかまりが減じていきます。

例外の場合

さて、この場合(成人)でもこのような対応のみではうまくいかない例外ケースもあります。それは先ほどと同じですが、現在進行形で引きこもっている場合や、精神疾患を伴う場合、お子さんが今も困り苦しんでいる場合などは、「親を責めて親のせいにすることで自分を恥じる気持ちを消そうとする」という気持ちが背景にあることもあります。こうなると、ただ聞いて気持ちを理解しようとするだけではなかなか先に進めません。なぜならば、お子さんは意識下で自分自身にも深い嫌悪感と恥を感じているので、親を責めることでそれがますます酷くなるからです。

このような悪いループにはまっている場合は、親御さんもとても苦しんでいることが多いと思います。やはり専門家との継続的なカウンセリングで、お子さんとのかかわり方を考えていくとともに、場合によっては支援機関を見つける必要もあります。

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