大人の発達障害

最近は、大人になってから、自分自身で発達障害を疑い、受診して診断を受けた方や、疑いを持ちながら私の相談室に来室される方も増えています。

近年の社会では、人件費の不足などから、営業から企画、事務、マネージメントまで何でもこなせる人材を求められがちです。

そのため、以前ならば発達障害的傾向を持っていてもそれなりに居場所が得られていたはずの分野でも、NGを出されて仕事を失うようなことになってしまいます。

このような傾向は、少子化の現代ではとてももったいないことで、日本全体の損失でもあると思います。

ただ、大人になってからご自分で「発達障害では?」と疑い、相談に訪れる方は、自分自身を客観的に見つめる能力のある人たちです。

自分自身の特性を知り、困っている方は、逆にちょっとした生活や考え方の工夫や努力で困難をかなり改善する余地のある方たちですので、どうかあきらめずに希望を持ってください。

具体的には衣食住の生活を整えることから、問題となっている人関係や仕事内容について明確にしてゆくこと、あるいはカウンセリングなどでの二次障害に対する治療、そして薬物療法まで、その人に合わせてさまざまな取り組みがあります。

そのような課題を一つずつ乗り越えて改善してゆくことで、これまでの人生で長く悩まされてきた困難を克服することも決して不可能ではありません。

発達障害の診断は、ゴールではなく出発点なのです。

 

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