自閉スペクトラム症の原因や主な症状とは?治療方法についても解説

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発達障害の一種である『自閉スペクトラム症』。実際にお子さんがなってしまった、という方も少なくないのではないでしょうか。

その場合気になるのは原因や症状、どのように治療をすればよいのかという点でしょう。そこで今回は、自閉スペクトラム症の原因や、治療法などについてご紹介いたします。

 

自閉スペクトラム症の特性

自閉スペクトラム症というのは、主に対人関係が苦手であることと、何事に対しても強いこだわりをもつという特性のことです。その名称から病気であるように思えてしまいますが、正確には病気というよりもあくまでも特性です。基本的に薬によって、症状をなくすことはできません。

自閉スペクトラム症といっても個人差があり、一概に同じ症状であるとはいえません。そのため個人ごとにアプローチを行い、少しでも日常生活をストレスなく過ごせるようにする必要があります。

自閉スペクトラム症の特性は、なにかと目立つものです。目立つゆえに、この特性をもっている方はいじめに合うこともあります。本人は必死に努力しているつもりであるにもかかわらず、結果として同じ失敗を繰り返してしまうこともあるでしょう。そうしたストレスから食欲不振や頭痛などの身体的なもの、あるいはうつなどの精神的なものも含め、二次障害を引き起こしてしまいやすい傾向にあります。

自閉スペクトラム症は、本人の努力でどうこうできるものではありません。特性によって生きづらさを強く感じてしまいやすくなっています。周囲の方が理解を示すことで、特性をもった本人の精神状態はおだやかになるでしょう。

 

主な症状

自閉スペクトラム症という特性をもった方の、主な症状は以下のとおりです。

 

コミュニケーションにおける理解力が低い

まずはコミュニケーションにおいての特性について解説しましょう。自閉スペクトラム症の方は、言葉を交わした際に、会話がうまく噛みあわないことがあります。同時に言葉によって受けた指示に関して、理解ができないことが多いでしょう。

たとえば私たちは普段会話のなかで、文脈を理解することで感じることや理解できることがあります。言葉にせずとも伝え合える部分もあることでしょう。自閉スペクトラム症の特性がある場合、それらのいわゆる『察する』という感覚が、著しく低い傾向があります。

 

さまざまな事柄に対するこだわりの強さ

もうひとつは、特定のものや事柄に対して、異常なまでに強いこだわりをもつという症状です。好きなものや興味をもったものに関して掘り下げていくことはだれでもすることですが、その掘り下げる深さが非常に深い傾向があります。

また動作に関しても、決まった手順に沿って繰り返すことに強いこだわりをもちます。ご本人だけで完結できるような場面であれば問題はありませんが、それが対外的な部分において発揮されてしまうと、トラブルなどの支障が発生してしまう恐れがあるでしょう。

 

原因

自閉スペクトラム症という特性をもつ原因は、現時点では判明していません。しかし諸説あるなかでは、以下の内容が原因である可能性が高いといわれています。

 

遺伝子によるもの

まずは遺伝によるものという説です。この節は非常に有力視されています。具体的な因果関係はまだ判明していませんが、両親あるいはどちらかの親からの遺伝である傾向が高く見受けられます。

1960年代ごろには親の育て方に問題があり、そのせいで発症するのではないかともいわれていました。とはいえ、少なからず自閉スペクトラム症患者の方が出産したお子さんでの発生率が高い傾向にあるのは、事実です。

 

出生前の環境によるもの

もうひとつの説が、出生前の環境に起因するというものです。たとえば妊娠初期における喫煙をはじめ、摂取する栄養素が偏ってしまっていることなどがあげられます。

これらを出生前のタイミングで行っていた場合に、その後出産した子どもが自閉スペクトラム症になる確率が高い傾向にあります。因果関係が不明である以上断言はできませんが、原因である可能性は大いに考えられるでしょう。

 

治療方法

特性は後天的である可能性が極めて低いため、特性が見受けられた場合に治療を考えることしかできません。そのままにしてしまうと、生きづらさを強く感じながら生きていかなければならず、非常に過酷でしょう。少しでもストレスを感じないような考え方や取り組みが、最終的に特性を抑えることにつながります。

確立されたプログラムに沿ってアプローチをすることによって、日常生活をそつなく送れるようになることでしょう。基本となる特性は共通していても、こだわりなどの強さなどの細かい部分に関しては個人差があります。一律ではなく個人差も考慮したうえで、治療を行わなければなりません。

治療法で基本となるのは、『療育』です。支援計画を立てたうえで、その計画に沿ってコミュニケーションの苦手な部分を、解消する方法などを教えていきます。

瞬時に改善されることはありませんし、薬だけで改善することもありません。生涯付き合っていく覚悟でしっかりと向き合うことが大切です。特性自体をなくせなくても、特性によって生きづらさを感じる頻度が少しでも減ることは、生きやすさにつながります。

 

まとめ

自閉スペクトラム症は、基本的に生まれつきの脳における障害といわれております。そのため、もしもお子さんがなってしまった場合は、根気強く付き合っていく必要があるでしょう。

そういったなかでご本人だけでなく、ご家族の方も悩みを抱えてしまうこともあるかもしれません。まずは一度「清洲心理相談室」までご相談ください。カウンセラーが精神分析的心理療法によって、そのお悩みから解放するサポートをいたします。ぜひともお気軽にお問い合わせください。