子供が親を責める理由

20173623823.jpg

 

子供に何か問題があり、過去の出来事や、その時の親の対応について、繰り返し子供に責められて辛い思いをされているお母さん(お父さん)によく出会います。

そのような場合、相談に来られるお母さんは大抵、自分を強く責めて、「自分のせいで子供はこんなことになってしまった。自分は取り返しのつかないことをした。」と自責の念に駆られています。このような親を、子供は決して許してくれないだろう、このような親を持った子供は不幸だ、と考えてしまうのです。

そのような親心は聞いていてとても痛々しいものです。そのような時、私はお伝えします。

「お母さん、お子さんは決してお母さんを心から憎んでそんなことを言っているのではないんですよ。お子さんが伝えようとしているのは、自分がとても辛かった、そのことを、お子さんにとって大切な存在であるお母さんと共有したかったということです。共有できなくてとても悲しかったのだ、という意味なんです。ですからどうか、ご自分を責めないで、お子さんの話の内容に聞き入ってあげてください。そうして、それがお子さんに対してできる、最上のことなんです。」

このような意味のことを伝えています。

大抵の問題は、このように話を聞くことで、ゆっくりと終息してゆきます。なぜならば、子供は心から母親を憎んでいるのではなく、本当は自分の心の痛みを母親と共有することで、一緒にそれを包み込み、その上で自分の痛みの意味を自分自身が受け入れられるようになりたいと願っているからです。

相談室を訪れる方たちは、さまざまな事情から、実の両親とはこのようなやり取りをすることが叶わなかった人たちです。そのため、カウンセラーが代わりにその思いを丁寧に、カウンセラー自身も理解できて共感できるように聞いてゆく必要があるのです。

もちろん、すべてが理解でき、共感できるとはかぎりませんので。「その時のあなたの気持ちは分かるけれど、それでも相手のすべてが(あるいはすべての人が)そうだとは限らないのでは?」などと、本人の固まった思い込みと、第三者から見た見方とのすり合わせが必要な時もあります。このすり合わせは時にはとても辛いものです。

それでも、その人がその時、そのような感情を持ったこと自体は事実ですから、その気持ちはありのまま受け入れます。その人が過去に怒れなかった怒りを怒り、流されなかった涙を流した後に、変化はゆっくりと訪れるものです。

「子どもが親を責める理由 その原因と対処法」

トップページ