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思春期

講演会原稿「思春期の心性」5

 ここでちょっと中学生不登校の典型的なケースを挙げてみましょう。ケース自体は私が担当した相談のありふれた例をつぎはぎして創作していますので特定のケースではありません。

 C君はお父さん、お母さん、二つ下の妹との4人家族です。お母さんの話では、お父さんは真面目で仕事熱心な人。C君が小さい頃は遊んでくれたが、仕事が忙しくなったこともあり小学校に入ってからはあまりお互いに話をしない。小さい頃のC君は特に問題もなく育てやすい子だった。イヤイヤ期も目立たなかった。下の子が活発で主張する子だったので、同じ子でもこんなに違うものかと思ったのを覚えているそうです。

小学校の頃のC君は特に問題もなく先生に叱られることもなかったが、自分から積極的に友達を作る方ではなかったそう。

 C君は中学に入り運動部の部活にも入り張り切っていましたが、中一の5月ごろから次第に朝起きにくくなりました。お母さんが何度起こしても起きられずまた寝てしまいます。起きても「頭が痛い。」「お腹が痛い。」と言って元気がありません。お母さんは心配して内科の病院へ連れて行き、検査を受けますが異常は見られません。医師には「精神的なものでしょう。」と指摘されます。

 これを聞いたお母さんは「うちの子が不登校に?」ととても不安になり、お父さんに相談します。お父さんも真面目な方だけに焦り、声を荒げてC君を叱ってしまいます。C君は硬い表情で黙り込んでいます。朝起きられない症状はさらに悪化し、怒って引っ張って連れて行こうとするお父さんに対してC君は硬く心を閉ざしてしまい、、お父さんが帰ってくると自室にこもり顔を合わせないようになりました。

 お父さんは諦めて「自分がかかわると余計にこじれるからお母さんに任せる。」と言ってその後いっさいC君に関わることを止めてしまいました。お母さんは不安を一人で背負うことになり焦ります。自分の育て方のどこが悪かったのだろう?と自分を責めてお母さん自身が辛くなり眠れなくなってしまいました。担任が電話をかけてきた折にお母さんは「困っています。」と打ち明けて、スクールカウンセラーに紹介されてきました。

 私が初めて会ったお母さんの印象は、物腰の柔らかい、優しい印象の方で、C君の今の様子を真剣に心配しています。「他のお子さんは学校へ行っているのにどうしてうちの子は行けなくなってしまったのでしょう?私の育て方がいけなかったのでしょうか?このままでは高校に行けなくなり、将来引きこもりになってしまうのではないでしょうか?」と心配されています。お母さんご自身のことも含めてお話を聞かせていただくと、お母さん自身は真面目だがお酒を飲んであまり子どもに関心のない父親と世間体をきにする忙しい母親の元に三人姉妹の長女として生まれて下の妹たちの面倒をよく見たとのことでした。知人の紹介で結婚したご主人の印象は、優しそうでよい父親になりそうとのことですが、実際結婚してみると会社が忙しくなり、家族と触れ合う時間はあまり取れなかったとのこと。C君が不登校になったことを姑にも実のお母さんにも打ち明けていません。理由は心配させたくないからとのことでした。

 C君は一度だけお母さんに促されて私と会いました。まだ背は低く線の細い印象で、青白い顔色でした。私との会話でも「うん」とうなづくだけで、あまりしゃべろうとしません。学校でのカウンセリングは今の段階では無理と判断し、お母さんとのカウンセリングの約束をしました。

 続きます。

 

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