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心理臨床家を志す方へのアドバイスとして 

  新年のご挨拶が遅れましたが、明けましておめでとうございます。本年も清洲心理相談室をよろしくお願いします。

 さて、今日はどんなお話をしましょうかと考えていましたが、最近当相談室にもカウンセラーの方からのスーパービジョンの依頼に来られる方が増えております。私自身も臨床歴がかれこれ30年に及び、その知識や経験を後進の人たちと共有できるチャンスがもっとあれば、と考え、専門職の方に向ける発信も増やせればと思い、今年はそれを意識した記事も書いていこうかと考えています。

 私たち臨床心理士がクライエントの方に出会う時に最初に意識することは、

①そのクライエントがどんな問題を抱えているのか?

 これは「見立て」と言われる部分です。これを最初に(口に出さなくとも)するかどうかが、専門職とそうでないカウンセラーの一番の違いと考えてください。見立てにはDSMの診断基準もありますが、精神分析の場合はそのクライエントの問題が、神経症水準か、パーソナリティ障害の水準か、あるいは精神病水準かの「深さ」の程度の査定も含まれます。あるいはその人の防衛によって、その防衛が抑うつ的なものか、強迫的なものか、回避的なものか、スキゾイド的なものか、それによりその人のパーソナリティをある程度類型化することは可能です。

 これらは初回の面接時にクライエントと直接会い、来談された悩みを聞くこととによって自ずと分かってくることもありますし、生育歴や家族の話を聞くことによって分かってくることも多いものです。やみくもにただ話を聞くのではなく、ある程度それらのことを頭に入れておいてその人の固有の問題を類推していきます。

②そのクライエントは世界をどう体験しているか?

 これは①と重なる点が多いのですが、①が客観的な視点からのクライエントの把握という意味合いが強いのに対し、②はクライエント自身の内的世界感のようなものです。私たちは皆、一人一人固有の心を持ち、固有の世界観で他者や出来事を判断しています。例を挙げると、ある人たちにとって、周囲はみな仲が良くうまく適応しているように感じ、自分は何をやってもうまくいかないダメな人間と感じているかもしれません。あるいはまた、人と自分とはとても大きな距離があり、近付けないように感じている人もいます。

 この①と②、とりわけ②は、私たちがクライエントと出会った時から意識すべきことですが、とりわけ②はセラピーで最も重要な要素の一つです。違う人間である以上、完璧に相手を理解することは不可能ですが、その人が感じている世界観をいかに正確に読み取るか、そしてそれを理解したことを伝えるかはセラピーそのものでもあります。

 また、②が分かってくるとおのずとそのクライエントに対してどう接していったらよいのかもわかってきます。あるクライエントには適切で共感的な接し方であっても、別のクライエントには非共感的だったり無理解だったりする対応になることもあるからです。

 

 つらつらと書きましたが、初心の方が最初にクライエントに会う時に意識すべき点について大雑把に挙げました。面接技法とはまた別に、専門家として意識すべき点、学んでおくべき知識はたくさんありますが、それはどれも目の前のクライエントの内的世界に少しでも近づくために役立つからです。専門家として一番してはいけないことは、口先だけで共感したり、分かったと思ってしまうことでしょう。人が人を理解するにはきりがありませんし、カウンセラーがクライエントを理解したいと思い続けることでクライエントもまた自己理解を深めたり、自分の感じ方に自信を持ったりすることができてくるのです。

 

 質問や、こんなことを聞いてみたい同業の方はご遠慮なくメールでご意見ください。個別にお返事はできませんが、ブログ記事として取り上げて行きたいと思います。

 

 初心者の参考文献としてお勧めの本

ナンシー・マックウィリアムズ ケースの見方・考え方 精神分析的ケースフォーミュレーション 創元社

ナンシー・マックウィリアムズ パーソナリティ障害の診断と治療 創元社

 

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