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男の子の思春期の課題

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思春期、青年期の子供、特に男の子にとって母親との関係は難しいものです。

私は、SCとして多くの生徒、特に不登校や引きこもりになってしまった生徒本人や保護者の方と会ってきました。

そしてまた、成人になって何らかの悩みを抱えて相談に訪れる男性のカウンセリングを続けていてもこれを実感します。

日本では、男性は仕事が忙しく、子育ては伝統的に女性の役割という考えが根付いているために、お父さんと子供が日常的に関わるチャンスがあまりありません。

そのためにどうしても、子供は母親ただ一人との関係が強くなります。

精神分析理論では、「エディプスコンプレックス」という言葉があり、これは幼児期の、男児がお父さんを排除してお母さんを独り占めしたいという無意識の願望のことです。女性では逆に、お父さんを独り占めしてお母さんの地位を奪いたいという願望になります。

エディプスコンプレックスが、なぜ重要になるのかといいますと、大好きなお母さんと結婚するには、お父さんのようにならなくてはいけない、つまり成長して一人前の大人にならなければいけないという前提を子供ながらに受け入れて、大人になって力をつけたい、という動機づけになるからです。つまり、子供が成長してゆく原動力となるからです。

もし、男児がお父さんへの愛着と憧れを持たずにお母さんとの強い絆のみで育ってしまった場合、お母さんと心理的に離れることが難しくなります。お母さんとの間に入ってくるお父さんがいないままならば、男児はお父さんを羨ましく思うことも、お父さんのようになりたいと思うこともなく、大人になりたいとはそれほど思わずに過ぎてしまいます。

それでも、大抵の場合順調に育ってゆき、同じ年齢の子供と遊ぶ楽しさを覚え、集団の中に自分の位置を見出すことに喜びを感じるようになり、母親から自立できてゆくものですが。

男子にとって一番大変な時期は、実は思春期です。

思春期になると性の目覚めとともに、異性である母親から距離を置こうとする気持ちが出てきます。それは生物学的にも自然な感情なのですが、もしこの時期に母親との絆があまりにも強すぎたり、他に頼れる存在の父親や同じ年齢のグループとの関係を見出せない場合、子供としては身の置き所がなくなってしまいます。近すぎる母親への自分自身の愛着に、飲み込まれまいとすると、母親と口を聞かなかったり自室に籠ったりするなど、物理的に距離をおくしか逃げ場がなくなってしまうのです。

こうなってしまった場合、多くのお母さんは、一体息子はどうしてしまったのだろう?と不安になり、息子を問い詰めたり近づこうとしてこじらせてしまいます。

私がお会いするお母さんたちの多くは、息子に「近すぎる」ために、子供が身動きが取れなくなってしまっているように見えます。そういうとき、「お母さん、ちょっと近すぎます。もう少し離れてくださいね。」と、上のような説明をして、できればお父さんや父親的役割を担える人物に関わってもらうようにお勧めしています。

思春期の、特に男性の一番の課題は、「自分の意志で、人生を選べるようになること」だと私は常々考えています。たとえば進路についてでも、たとえ親が勧めた進路であっても、最終的に決めるのは自分、という気持ちがないままに成人になってしまうと、「自分はいったいなんのために生きているのか?」と悩むことになります。

もちろん、まだ未熟ですから、選択を間違えることも多く、親はヒヤヒヤ危なっかしい思いをしたり、つい口を出したりしたくなるものですが、この時期の冒険やトライ&エラーは、男の子が一人の男性になるためのかけがえのない経験です。だから、本当に取り返しのつかないこと、人として許せないこと以外は口を出さずに見守るほうがよいのです。

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